令和4年度1学期終業式 校長講話
7月20日(水)に1学期の終業式を行いました。校長講話の概要は、次のとおりです。
皆さん、おはようございます。 本日で、1学期が終わります。1年生は、高校での学習をどのよう感じたでしょか。授業の進む速さが早い、課題や提出物が多い、初めて習う専門科目は面白いなど、それぞれ色々な印象を持ったと思います。2,3年生はどうだったでしょうか。学習内容が高度になったと感じる一方で、部活動や資格取得に一生懸命取り組んだ人も多いと思います。
本日は、1学期に私が感動した出来事についてお話します。私は、時々美術館で行われる展覧会を見に行っています。これは、一つは絵が好きなこと、そして、実際に本物に見たり触れたりすることが大切だと思っているからです。これまでも、モナ・リザで有名なレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、クロード・モネやピカソ、ゴッホなど海外の有名作家の展覧会に行き、本やテレビからでは感じられない感動を味わっていました。コロナ禍で絵画展へ出かける機会がありませんでしたが、今年4月にアンドレ・ボーシャンと藤田龍児という2人の画家の展覧会が開催されたので見に行きました。この展覧会に行くまで、私は、藤田龍児という画家を知りませんでした。そこで知った藤田さんの生き方に大変感銘を受けました。藤田さんは、1928年に生まれて、2002年に73歳で亡くなっています。23歳で本格的に絵を描き始めると、26歳の時にはコンクールで初入選しました。その後、様々な美術展で入選を果たしますが、48歳のときに脳血栓で倒れ約1年間のリハビリを経て回復した矢先、再び脳血栓を発症しました。脳の手術によって命は取り留めましたが、身体の右側が麻痺して動かなくなり、言葉もしゃべれなくなりました。しかし、必死でリハビリを続けた結果、5年後には一人で歩けるまでに回復しました。さらに凄いのは、藤田さんは利き腕の右手が動かなくなり、一時は画家を諦めましたが、リハビリ期間中に左手で絵を描く練習も重ね、53歳で画家として復活します。その後、73歳で亡くなるまで絵を描き続けました。命を落としかねない病気を患ってから画家に戻るまでの努力は、想像を絶するものがあったと思います。そして、実際に画家に復帰できたという不屈の精神は大変素晴らしく、是非とも見習わなければならないものだと思いました。この藤田さんの復活には、過酷なリハビリを支えた奥様やお子さんたちの存在あってこそだということは、言うまでもありません。私は、藤田さんの壮絶且つ生涯画家を貫こうとするぶれない生き方に感銘を受けました。そして、作風も大変気に入ったので、是非、藤田さんの作品を手に入れたいと思いました。既に亡くなって20年が経過し、現存する作品数も少ないことから、新たに販売されることはないだろうと思いつつも、僅かな願いを持って探し続けていたところ、作品を販売している画廊を見つけ購入することができました。そこの社長さんからいただいたお話が印象的だったので紹介します。「私が藤田龍児先生の作品を知るようになった頃は、作品数の少なさから世間的には忘られつつある作家でしたが、時代が藤田先生に追いついて再評価されるようになったことに感慨深いものがあります。今回の作品は、脳血栓を患い復活した後の1983年のもので、藤田先生らしい緻密で大変できの良い一点だと思うので、末永くお付き合いいただければ幸いです。」というものでした。今回のことをとおして、藤田龍児という画家を知りその作品に出会えたことは、私の一生の宝になると思います。そして、改めて本物に触れることの大切さを学びました。
では、明日から夏休みが始まります。3年生で就職希望の人は、会社見学をとおして9月の就職試験に向かっての準備をしっかりと進めてください。進学希望の人は、オープンキャンパスなどに参加して、志望校の絞り込みをしてください。1,2年生は、部活動や2学期に行われる資格試験の対策に向けて一生懸命取り組んでください。ここのところ、コロナウイルス感染症が急拡大しています。熱中症対策をしつつ感染症予防を行い、2学期も元気な姿で登校してください。