校長室

令和4年度2学期終業式 校長講話

12月23日(金)に2学期の終業式を行いました。校長講話の概要は、次のとおりです。

本日は、本校卒業生が達成した偉業を紹介します。その方は、令和2年3月に本校を卒業し、今年度の公認会計士試験に合格しました。公認会計士とは、会計の専門家で、主な業務は、企業の財政状況や経営成績を開示するために作成しなければならない財務諸表という資料が正しく作られているかをチェックすることです。これは、企業が業績実績を実際よりも良く見せて、資金を出してくれる銀行や投資家をだまさないようにするためで、資本主義経済を支える極めて重要な役割となっています。そのため、日本も含めてイギリスやアメリカなどの資本主義国では、公認会計士は最重要な国家資格として位置付けられています。公認会計士試験の難しさは、裁判官や検察官、弁護士になるために合格しなければならない司法試験と同等です。今年の合格率は7.7%で、これは、例えば受験生が1000人いた場合、合格者が77名、不合格者が923人となる超難関試験です。1年間の収入は、初任給で500万~600万円、全体の平均年収は約1000万円と言われており、一般企業の大学新卒者の初任給や国民の平均年収をもを大きく上回る金額です。

その方は、本校のビジネス会計科に入学し、そこで簿記の授業を受けたことで簿記の魅力にはまったと言っていました。在学中は資格取得にも熱心に取り組み、商業資格4部門で1級に合格し、全国商業高等学校協会から表彰を受けています。当初、高校卒業後は就職を希望しており、いろいろ調べる中で公認会計士という仕事があることを知ったそうです。そこで、進路を公認会計士の試験対策を勉強する専門学校への進学に変えました。公認会計士を目指した理由は3つあり、1つ目は、学習した簿記の知識を生かせる仕事であること、2つ目は、他の仕事に比べて給料が高額であること、3つ目は、商業の専門分野の中で最難関の職業であること、とのことでした。専門学校卒業後も同校の資格取得講座に通って勉強しました。自宅からの1時間半の通学時間中はもちろんのこと、休日も平日と同様に1日約13時間ぐらい勉強していたとのことですが、辛いと思ったことは無かったそうです。

さて、12月18日にサッカーワールドカップの決勝戦が行われ、アルゼンチンがフランスを破って優勝しました。そのアルゼンチンにリオネル・メッシという選手がいます。彼は、世界最高峰のサッカー選手の1人と称されており、今回の大会でも最優秀選手に選ばれました。そのメッシの名言と言われるものの1つに「努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ」というものがあります。本日紹介した方は、まさにメッシが言った「報われるまで努力する」をやってのけたと思っています。高校で出会った商業の勉強に興味を持ち、在学中は専門科目に関連する資格を数多く取得し、高校卒業後は最難関の国家試験に合格しました。私は、中学生対象の学校説明会において、本校では、学習する専門的内容に興味・関心がなく入学のしやすさだけで選んでくるとつらい3年間となるが、興味・関心を持って入学し学習に取り組めば、本人や周りの人も驚くほど伸びる生徒もいる。という話をしています。正に、今回の事例がこのことに当てはまると思います。そして、生徒の皆さんも、今後の努力次第でこのように素晴らしい結果を出せる可能性を秘めています。是非、先輩を見習って頑張ってください。

 最後になりますが、明日から冬休みに入ります。コロナウイルス感染症やインフルエンザ、交通事故などに気を付けて、3学期の始業式には元気に登校してきてください。