放生会(ほうじょうえ)
放生会(ほうじょうえ)は、旧暦の8月15日におこなわれる儀式で、人間が捕えた生き物を放し、自然界に返してあげることにより、殺生つまり生き物を殺すことを戒め、生き物の命の重さを説く仏教の儀式です。仏教の戒律である「殺生戒」を元とし、日本では神仏習合によって神道にも取り入れられていました。収穫祭・感謝祭の意味も含めて、春または秋に全国の寺院や宇佐神宮(大分県宇佐市)をはじめとする全国の八幡宮(八幡神社)で催されています。江戸時代には庶民の間に広まり、放生会の日になると人々は飼っている動物や魚、カメなどを空や川、海、森などに放して自由にしてあげました。但し、動物を飼っていない人も大勢いたので、寺社の境内や門前、川沿いの露店や行商人が逃がしてやるための「放し鳥」や「放しうさぎ」などを売り、わざわざお金を払って、買った鳥やうさぎを川や野原に逃がしたこともありました。人間に捕獲された生き物を自然に戻してあげることで、人々は功徳を積み、家内安全や商売繁盛を期待しました。