冬至(とうじ)
もうすぐ冬至です。今年の冬至12月22日(日)です。冬至とは、北半球において太陽の位置が1年で最も低くなる日のことで、日照時間が最も短くなるため、1年で最も昼が短く、夜が長くなります。太陽の位置が1年で最も高くなる夏至(6月21日ごろ)と比べると、日照時間におよそ5時間もの差があります。冬至は陽の光も弱く、この日を境に日が長くなっていくため、冬至を太陽が生まれ変わる日ととらえ、世界各地で古くから冬至の祝祭が盛大に行われています。また、旧暦では冬至が暦を計算する上での起点となり、立冬と立春の中間が冬至で、冬の真ん中となります。 日本では、冬至にはゆず湯に浸かる習慣があります。お風呂にぷかぷか浮かぶゆず。いい香りが漂ってきて、体もぽかぽかしてきます。でも、どうしてゆず湯に入るのでしょう? 中国や日本では、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力がよみがえってくると考えます。そこで、冬至のことをかげ陰(いん)が極まり再び陽(よう)にかえる日という意の「一陽来復(いちようらいふく)」といい、この日を境に運も上昇するとされています。また、悪いことが続いても、回復してよい方向に向かうという意味もあります。 古代には冬至を1年の始まりとしていた時代もあり、冬至に未来への希望をつないだのでしょう。 現代でも、新年や大切な儀式に際して入浴する風習があります。昔から強い香りがする植物で邪気をはらう風習がありますが(端午の節句の菖蒲湯(しょうぶゆ)など)、冬が旬のゆずは香りも強く、邪気ばらいにぴったりです。ゆず湯には、ゆず=「融通」がきく、冬至=「湯治」という語呂合せもあります。 ゆず湯に入ると1年間風邪をひかないといわれています。ゆずには血行を促進して冷え性を和らげたり、体を温めて風邪を予防する働きがあり、果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果もあります。さらに、香りによるリラックス効果もあるため、元気に冬を越すためにも大いに役立ちます。