平成29年度~校長室

お彼岸(おひがん)

 明日は彼岸(ひがん)の入りです。彼岸とは雑節の一つで、春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた7日間のことです。また、この期間に行われる仏事(彼岸会)のことでもあります。最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「はしりくち」と言います。元々は、煩悩を脱した悟りの境地のことで、煩悩や迷いに満ちたこの世をこちら側の岸「此岸」(しがん)と言うのに対して、向う側の岸「彼岸」と言います。彼岸の仏事は浄土思想に由来します。浄土思想で信じられている極楽浄土(阿弥陀如来が治める浄土の一種)は、西方の遙か彼方にあると考えられていました(西方浄土ともいう)。春分と秋分は太陽が真東から昇り、真西に沈むので、西方に沈む太陽を礼拝し、遙か彼方の極楽浄土に思いをはせたのが彼岸の始まりです。元々は中国から伝わったもので、心に極楽浄土を思い描き浄土に生まれ変われることを願ったもの(念仏)ですが、日本に伝来後いつの間にか法要を営み祖先を祀る行事へと変化しました。806年(大同1年)、日本で初めて彼岸会が行われました。この時、崇道天皇のために諸国の国分寺の僧に命じて「七日金剛般若経を読まわしむ」と日本後紀に記述されています。不思議なことに、彼岸は現在のインド、中国にはみられず、日本固有の行事なのです。そこには日本古来の農耕儀礼や、祖霊崇拝と仏教を結びつけて、親しみやすくし、なんとか人々に仏教を歩ませようとした先人の願いが感じられてきます。また、この時期に咲く曼珠沙華(まんじゅしゃげ)は、秋のお彼岸頃に咲くので彼岸花とも呼ばれます。田舎道の脇に群生していたりしますが,町中でも空き地や家庭の庭等に見かけます。根のところにはリコリンという毒がありますが、この毒は水で何回もさらせばとれるので、昔の人はこの根の部分からデンプンをとって飢饉の際の食料としました。彼岸花はまっすぐな茎の上に花だけをつけます。葉は花が散った後にゆっくり生まれ出ます。韓国名はロマンチックで、サンシチヨと呼び「想思華」と書きます。1本の茎を共有しながら花と葉は決して出会うことはありません。花は葉を想い、葉は花を思い焦がれているから「想思華」という訳です。彼岸花が野や里に朱を散らすと、爽やかな風とともに秋がやってきます。