校長室日誌

虫の声

 夏の暑さがやわらぎ、秋の足音が聞こえ始めると、緑に彩られた草むらや公園、森などからさまざまな虫の鳴き声が聞こえてくるようになります。リーンリーンと鳴く鈴虫、チンチロリンの音色を奏でる松虫など、美しい虫の声が増すほどに、秋の訪れや深まりを感じる人は多いと思います。日本人には心地よい虫の鳴き声ですが、アメリカやヨーロッパの人々には雑音と聞こえるようです。一説によると、初秋の月を眺めながら虫の音に耳を傾ける文化は、世界でも日本や中国などアジアの一部の地域に限られているようです。日本では、平安時代に一部の貴族の間で虫をペットとして飼育することが始まりましたが、江戸時代後期になると、庶民もさまざまな種類の鳴く虫を竹製のかごに入れて、縁側や軒先に吊るして飼ったり、虫の鳴き声の名所にわざわざ足を運び、秋の夜長に虫の音色を楽しみました。なかでも、東京都荒川区西日暮里にある道灌山(どうかんやま)は、鈴虫や松虫をはじめとして多くの種類の虫が美しい音色を響かせ、虫の名所として知られていました。
 皆さんの家の周りでも虫の音色は楽しめると思います。静かに耳を傾けてみてはいかがですか?