平成29年度~校長室

紅花

 6月から7月にかけて咲く紅花は、その名の通り貴重な紅色の素として、古くから活用されてきました。紅は魔除けの色、高貴な色とされ、その素となる紅花の赤い色素はとても貴重なものでした。紅花はアザミによく似たキク科の越年草です。暖かい地方では秋に種をまき、寒冷地では春に種をまきます。紅花の産地として有名な山形県では早春に種をまきます。夏に花を咲かせ、咲き始めは鮮やかな黄色の花ですが、次第に下のほうから紅くなります。染料や顔料として利用されるほか、種からは紅花油(サフラワーオイル)が採れ、葉や茎は食用にもされます。紅花の原産地は、地中海沿岸や中央アジア、エジプトナイル川流域など諸説あり、確定されていませんが、古くから栽培され利用されていました。紅い色は強い生命力や神聖な力が宿っている魔除けの色と考えられていましたが、自然界ではきれいな赤に染まる色素は少なく、紅花は貴重なものでした。やがてシルクロードを通って中国へ、そして朝鮮半島を経て5~6世紀ごろ仏教文化とともに日本に伝わったといわれています。「古事記」下巻に出てくる紅花の記録が最も古い記録で、万葉集にも「末摘花(すえつむはな)」という名で見られます。長い間、紅花の紅は貴族の間だけのものでしたが、江戸時代になると紅花の栽培が各地に広がっていきました。中でも、山形県の最上川流域は質の良い紅花が採れる一大産地として発展しました。「最上紅花」は最上川中流域の村山地方特産の紅花のことです。ここで作られた紅花は「紅もち」に加工され、京都や大阪へと送られ、染めものや紅に使われました。高品質で知られる最上紅花は高価で取り引きされ、各地に「紅花大尽」が現れるほどでした。現在では、加工用の最上紅花や、切花用のとげなし紅花・しろばな紅花などが栽培されており、山形の県花になっています。紅花の種から取れる紅花油(サフラワーオイル)は、食用油やインクやペンキの油として利用されてきました。日本では染色用の花として栽培されてきましたが、アメリカなどで栽培されている紅花は油料用のものです。世界的には油料用の栽培がほとんどです。サフラワーオイルにはリノール酸が多く含まれますが、過剰摂取は良くないという研究もあり、オレイン酸が多く含まれるものなどが開発されています。埼玉県では、かつて桶川市でさかんに栽培され、現在はふるさと創生事業の一環として「べに花の郷 桶川市」のキャッチフレーズを掲げ、紅花をシンボルとしたまちづくりをすすめています。