校長日誌

日本人ノーベル賞 自然科学分野

 スウェーデンのカロリンス医科大学は昨年10月、今回のノーベル生理学・医学賞を、東京工業大学の大隅良典(おおすみ よしのり)栄誉教授に贈ると発表しました。

 

 授賞理由は「細胞内のたんぱく質の分解現象であるオートファジー(自食作用)の仕組みの発見」です。細胞が自分自身の一部を分解し、栄養源としてリサイクルしたり、新陳代謝したりする仕組みを明らかにしました。

 

 大隅教授によれば、当初は注目されていなかった研究分野だったが、「人がやらないことをやりたいと思ったから始めた」とのことです。

 

 東工大での受賞決定後の初講演で大隅教授は、分解現象がどのように終わるのかなどの基本的な仕組みはいまだ分かっておらず、「もっといろいろなデータを蓄積させないといけない」と意欲を示すとともに、学生たちには「自分の興味を大事にして欲しい」とエールを送りました。

 

 ここで、日本の自然科学分野におけるノーベル賞受賞者についてざっと確認してみます。

 「生理学・医学」、「物理学」、化学」の自然科学分野3賞における日本の受賞は、合計で22人、2000年以降では17人という受賞ラッシュです。

 

【3賞を年度別に分類します】 (米国籍の南部陽一郎、中村修二の両氏を含む) 敬称略 

NO

年 度

物理学

化 学

生理学・医学

概要(授賞理由)

1949

湯川秀樹

 

 

陽子と中性子を結ぶ中間子の存在を予言

1965

朝永振一郎

 

 

量子電磁力学におけるくりこみ理論

1973

江崎玲於奈

 

 

半導体におけるトンネル効果の発見

1981

 

福井謙一

 

有機化学反応を電子軌道で説明するフロンティア電子理論

1987

 

 

利根川進

免疫反応で多様な抗体を作り出す仕組みの発見

2000

 

白川英樹

 

導電性ポリマーの開発

2001

 

野依良治

 

化学物質の左右の型を作り分ける不斉合成の開発

2002

小柴昌俊

 

 

宇宙ニュートリノ検出への先駆的貢献

2002

 

田中耕一

 

生体高分子の質量を分析する手法の開発

10

2008

南部陽一郎

 

 

自発的対称性の破れの発見

11

益川敏英

 

 

6種類のクォークの存在を予言する小林・益川理論

12

小林誠

 

 

13

 

下村脩

 

緑色蛍光たんぱく質GFPの発見

14

2010

 

鈴木章

 

有機化合物の合成に役立つクロスカップリング反応の研究

15

 

根岸英一

 

16

2012

 

 

山中伸弥

IPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製

17

2014

赤崎勇

 

 

青色LEDの開発

18

天野浩

 

 

19

中村修二

 

 

20

2015

 

 

大村智

抗寄生虫薬イベルメクチンのもととなる物質を発見

21

梶田隆章

 

 

ニュートリノ振動の発見

22

2016

 

 

大隅良典

オートファジーの仕組みを発見

 

 2016年版の科学技術白書によれば、自然科学分野でノーベル賞につながる研究業績を上げた年齢は、20代後半から30代にかけてです。

 

 ノーベル賞の理由となった研究をした年から受賞までの年数は1940~60年代は15~18年程度、70年代以降は20年以上に延び、2000年代に入ると25年以上と長くなっています。

 

 日本の自然科学3賞受賞者で、これまで受賞時に最も若かったのは湯川秀樹博士の42歳。最高齢は南部陽一郎博士の87歳です。

 

 受賞者22人のうち、40代が4人、50代が4人、60代が6人、70代が3人、80代が5人で平均受賞年齢は64歳になります。

 

 自然科学3賞以外では、川端康成(1968年 文学賞)、佐藤栄作(1974年 平和賞)、大江健三郎(1994年 文学賞)の各氏が受賞しています。

 

 経済学賞の受賞者は日本人にはまだいません。皆さん、こうした話に刺激を受けて、是非「自分の興味を大事にして」それぞれ得意の分野で高みを目指して挑戦して欲しいと思います。

 

       読売新聞  朝日新聞  日本経済新聞  BBC等 参照