平成29年度~校長室

平成29年度~校長室

春告げ魚

 もう〝春〟といってもいい陽気になりました。陽気がよくなるとどこかへ出かけたくなる。出かけると美味しいものを食べたくなる。人の習性でしょうか? 食は健康の基本。中でも“今が旬”と呼ばれる食べ物には夏なら体を冷やし、冬なら温めるといったように、人間の体にうまく働きかけてくれるものがたくさんあります。また“旬”の食材を使うと、おいしさも格別ですし、栄養価も高くなります。最近では、ハウス栽培や養殖などにより1年を通じて店頭に並ぶ食材が増えましたが、本来の収穫時季にとれたものを食べるのは、体調を整えるためにも大切なこと。食べ物の“旬”を覚えて、健康づくりに役立ててください。日本各地には「春告げ魚」と呼ばれる魚たちがいます。たとえば、春の季語にもなっている「鰆(さわら)」。「魚」偏に「春」と書くように、瀬戸内海を中心に春に旬を迎え、春の訪れを知らせる魚です。瀬戸内海には、春になると産卵のために「鰆」がたくさんやってきます。その字のように春の訪れを告げる春告げ魚として親しまれています。鰆は1mを越えるサバ科の一種。ほっそりとした体形から「狭腹(さわら)」ともいわれます。成長とともに名前が変わる出世魚で、サゴチ、ナギ、サワラと名前が変わります。東海や関東では脂ののった冬場の寒鰆が人気ですが、関西では春鰆が旬とされ、産卵のために沿岸に集まり漁獲された鰆の卵や白子も堪能します。身は淡白ながらほろりとした甘みがあり、どんな調理法でもおいしくいただけます。一方、北国では春告げ魚といえばかつては「鰊(にしん)」でしたが、不漁のため鰊に変わってメバルが春告げ魚と呼ばれるようになってきました。日本中で獲れる近海魚ですが、東北地方近海で早春から旬を迎えるのは「ウスメバル」。たけのこの出る季節に美味しくなるといわれ、3月から5月頃に多く出回ります。煮つけにすると最高においしいですね。地域や時代によっても春告げ魚は異なりますが、春先になるとぴちぴちと元気に集まってくる魚たちに、人は親しみを込めて「春告げ魚」と呼んだのでしょう。

   

0